龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
家に帰ると玄関に見慣れない女性ものの靴が二足。


お客様かな?


和子さんが出迎えてわたしをすぐに台所に連れて行った。

「少しばかり厄介なお客様がいらしてまして」


厄介って?


和子さんの説明によると

圭吾さんのお父さんっていうのは次男で、子供がいないお兄さんの代わりに家督を継いだらしい。

その後お兄さんは子供のいる人と結婚し、圭吾さんのお父さんよりも前に病死。

今来客中なのがその未亡人と継娘――ってことは、また羽竜姓なのっ!?

紛らわしいなぁ、もう


「毎年恒例でございまして、二週間ほど当家に滞在なさいます。ただ今奥様が一人でお相手をしてらっしゃいます」

「彩名さんと圭吾さんは?」

「圭吾様はお出かけからまだお戻りになりません。彩名様は……居留守をお使いに」


は?

彩名さんが居留守ってどんだけ嫌な客?

それを和子さん、まさか


「志鶴様の噂をお聞きになったらしく、是非お会いしたいと」


嘘でしょ~!
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