龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
いいわよ

顔見たいんでしょ

見せてやろうじゃないの


客間のふすまの前に座って

「志鶴です。ただ今戻りました」

と声をかける。

『お入りなさい』と伯母様の声

戦闘開始!



中に入ると、ピリピリした空気が……


痩せぎすのクジャクみたいな母親の方は羽竜容子さん。

貴子伯母様と同じくらいの年かな


「あら、それではこの方が駆け落ちした妹さんのお子さん?」


ちょっとオバサン、『駆け落ち』は余計じゃないの?


「ええ、亡くなった妹の子ですわ」

貴子伯母様が訂正する。


「はじめまして、三田志鶴です」

やだなぁ こういう雰囲気


「それ、清流の制服ね。おいくつになるの?」

「十六です」

「では一年生?」

「二年です。早生まれなもので」
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