龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「午前中、また病院へ行っていたんだ」

歩きながら圭吾さんが言った。

〈首塚〉で倒れていたテレビクルーのうち、例の霊能者の女性だけ意識が戻らないという。

「それほどすごい能力者じゃないと感じるんだけど、何かがネックになっていて呼び戻せないんだ。こういう事に関しては司の方が上手いから頼みに来たんだよ」


頼んだ?

圭吾さんから?


「OKもらった?」

「快諾してくれたよ」


よかった

本当に仲直りしたんだな


「前に言ったろ? 志鶴と一緒なら僕もまともな人間になれるって」

つないだ手に力が入った。

「志鶴が必要なんだ。分かっているよね?」


「うん」


「大切にするから。誰よりも大切にするから」


ずっと僕のそばにいて――言葉にされなかった圭吾さんの願い

本当にわたしは圭吾さんを幸せにできる?――声にならないわたしの恐れ


「じゃぁとりあえず今日はゲームに付き合ってもらおうかな」


おどけて言うと


「喜んで」


圭吾さんは微笑んだ。
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