龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
唇を離しておでことおでこを合わせる。


「わたし、ちゃんと出来た?」


「上手に出来たよ」

圭吾さんは微笑んだ。

「夏休みの終わりまで待たなくてすんだ――これで僕は君の恋人になれた?」


「なれたと思う……たぶん」


「あやふやだな」

圭吾さんは苦笑した。


「圭吾さん、ケータイ鳴ってるよ」

「ああ、分かってる」


圭吾さんはいかにも渋々って感じで携帯電話をポケットから取り出した。


「要だ……要? ああ。今、家だけど。どうした?」


圭吾さんの表情が変わる。


「分かった。すぐに行く」


電話を閉じて圭吾さんはわたしを見た。


「どうしたの?」


「司がしくじった。引き込まれて意識が戻らない」


< 56 / 86 >

この作品をシェア

pagetop