龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「ありがとう。助かった」

司さんが言った。

「さあ戻ろう」


でも……ね


わたしは狐を振り返った。


「同情してはだめだよ。精神的に同調するのは危険だから」


分かるけど

それは分かるけど


振り返り、振り返り、司さんの後ろを歩いた。


一人はさみしい

一人は悲しい


孤独の切なさは誰よりも知っている



「先生、わたしもう少しここにいます」


司さんがギョッとしたように振り向いた。


「だから圭吾さんに伝えて下さい。迎えに来てって」


わたしはそう言い残して、身をひるがえし走った。


孤独に消え行く狐の元に


< 64 / 86 >

この作品をシェア

pagetop