龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

狐は体の三分の二まで闇に飲み込まれていた。

わたしが近づくと狐は地面に横たえていた頭を上げた。


ナゼ戻ッテ来タ?


「わたし、何の力もないからもう少しここにいてもだいじょうぶなの」


ナゼ?


「あのね、一人はさみしいから」

わたしは少し離れて狐の正面に座った。

「あなたが消えるまでここにいるわ」


ソウカ


薄闇の中、わたしは狐の物語を聞いた。


時を経て妖魔になった獣の話を


こっくりさんで呼び出され、孤独な少女と巡り会った狐の話を


取り殺すつもりが取り憑かれたように少女に魅せられた男の話を


闇は少しずつ狐を飲み込んでいく

もうすぐ目も見えなくなるだろう


アノ子ノ名前ハ、初音

オ前ハ 志鶴トイウノカ?


「そうよ」


声ガ聞コエル。オ前ヲ呼ンデイル。


圭吾さんだ。

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