龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
目を開いて最初に見えたのはいつもと違う圭吾さんの顔だった。


目が赤くて、すごく疲れているみたい


「彩名、志鶴が目を覚ました」


「本当?」

圭吾さんの後ろから彩名さんが顔を出した。

「まあ、よかった。みんなに知らせて来るわね」


片手を伸ばそうとすると何かが引っ掛かり、圭吾さんがそっとわたしの手をつかんだ。


「引っ張らないで。点滴してるから」

「ここ、病院?」

「そうだよ」


圭吾さんはわたしの髪を撫でた。


「圭吾さん、手を怪我してる?」

「ああ、うん。ちょっとね。たいしたことないよ」


いつ怪我なんかしたんだろう?


「わたし、どのくらい寝てたの?」

「三日」

「そんなに?」

「うん。呼びかけてもなかなか答えてくれなくて、心配したよ」

「ごめんなさい」

「いいんだ。帰って来てくれたから」


圭吾さんはわたしのおでこにキスをした。


「お帰り、志鶴」



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