龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】

意識が戻った翌々日に退院することになった。


圭吾さんにはものすごく心配かけたみたい


圭吾さんは何も言わないけれど、きっとずっと病院でわたしに付き添ってた。


「もうだいじょうぶだから帰って眠ったら?」

って言ったら

『志鶴がいなきゃどうせ眠れない』という返事が返ってきた。


圭吾さんは病室に入れてもらった簡易ベッドで寝るって言ってたけど、夜中に目を開けるとベッドの脇に座ってわたしを見ていた。


薄暗い場所で見る圭吾さんは、闇に飲み込まれていった獣を思い出させた。


「圭吾さん?」

「ん?」

「寝ないの?」

「もう少ししたら」


眠れないんだ


「家に帰ったら一緒に寝てあげる」


圭吾さんは手を伸ばしてわたしの髪を撫でた。


「ありがとう」


かすかに笑ってる。

わたし、また変な事言った?

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