龍とわたしと裏庭で②【夏休み編】
「志鶴、結果的に君は僕を死ぬほど震え上がらせたんだよ」

圭吾さんは深いため息をついた。

「あの時、君が僕を呼ぶのが聞こえた。でもそばにいないし、慌てて廊下に出たら具合が悪そうに床に座り込んでたろ?」


そう

そしてその後、意識をなくした

何が起こったのか、圭吾さんにはすぐには分からなかっただろう


「ごめんなさい」

「謝ってほしい訳じゃない。きちんと話してほしいんだ」

「うん」

「志鶴はすぐ自分を後回しにするだろう? 後回しにされて当然だと思ってる。でも、僕には何よりも志鶴が大切なんだ」

「分かってる」

「もう一度カウンセリングを受け直そう。いいね?」

「はい」


わたし、まるで子供だ


早くに家を継がなきゃならなくて、実際の年よりずっと大人びてる圭吾さんに釣り合わないほど子供っぽい
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