霊務・ザ・ファイナル(霊務4)
コイツらときたら、全く危機感が足りない。
本当にヤバい瀬戸際なのに。
オッサンは急いで、礼子にお願いをした。
「礼子君! 君の特殊能力を出してくれ! ほら……あの変なドラマの炎を操るキャラクター!」
思い出すように頼み込む。
礼子は昔サキと共に階級10の校舎の霊と戦った時に、その恐ろしい特殊能力を発動。
内容は『ドラマのキャラクターを現実に召還する』と言う意味不明の能力。
とにかくそれさえあれば、ここから抜け出せる。
「違うよオッサン~あれはチンピラ奥さんって言って炎を出すんじゃなくて、主婦だから炎に強いワケで、でもチンピラだから火炎放射器持ってて……」
「説明はいいから早よしろい!!」
氷の勢いは止まらないので、急かすようにオッサンはつっこんだ。
ってか、チンピラでも火炎放射器は持ってないでしょーに。
「はいはい。じゃあ出すよ。えい!!」
……
何の反応もない。
礼子はおかしいなと思い、もう一度試してみる。
「はあ~~えい!!」
シーン……
やはり、何も出ない。
「れ、礼子君?」
オッサンが聞くと、礼子はお茶目に舌を出した。
「テへッ★出ないみたい」