今、この場所で。
昔の事を思い出していると恭平が
「なんだ。アキちゃんもお前の事音楽室から見てたんだな。」


ハッと我に返った俺はタバコの火を消し恭平の顔を見た。


ニヤっと笑った恭平は何もかも見透かしたように「誕生日おめでと。色男さん」
とフェンスにもたれかけ手をひらひらと俺に振った。

俺は急いで屋上からの階段を駆け降りた。


あの日から何度も願った。神様…もう一度だけ…


俺の足は音楽室の前で止まり、扉に手をかけた。この扉を開けるとアキがいるんだ。そう思うと緊張してなかなか扉を開ける事は出来なかった。


覚悟を決めた俺はゴクリと唾をのんで扉を開けた。


この先何が待っていても…
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