今、この場所で。

君と座る椅子

扉をガラガラと開けた俺は何年かぶりに見たピアノを弾くアキの姿を見て体が動けなくなっていた。


だって、いつも屋上で想像していたアキの姿がこんなにも綺麗だったなんて…。

それに気付いたアキは優しく「お誕生日おめでとう」って笑った。


急に目頭が熱くなった。
ヤバイと思った俺は何を言ったらいいか分からずに音楽室の前で呆然と突っ立っていた。


こんな俺は音楽室に入っちゃいけないような気がして…
そこはまるで神聖な場所に感じて俺は足を踏み込む事が出来なかった。
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