イジワルセンセイとハチミツな恋~どきどき・胸キュンホームルーム~
「うん、私も……」


まり子もそれに習って勉強道具を広げ始めた。その時


「――あっ……」


テーブルの上で二人の手が触れ合って、思わず手を引っ込める。


「わ、すっすみません!」


乃理道は反射的に謝ってしまったが、別にどちらが悪い訳でもない。そうは言っても、この場合、謝るのは男子の方だと言う認識も有った。


そして、そのままじっと、見詰め有ってしまう二人だった。その沈黙を先に破ったのは乃理道だった。


「この手が、この手が、えいえいえい!」


照れ隠しに自分の右手を左手で窘めると言う一人芝居を暫く続けた後、まり子の視線に気がついて、再び照れ笑いで誤魔化そうとする乃理道だった。
< 203 / 213 >

この作品をシェア

pagetop