あきれるくらい側にいて
そこまで聞いただけでも、あたしはどっと疲れを感じてるっていうのに。ハルは楽しそうに話を続けた。
「昨夜のあの店って、よく行くんですか?」
「あの店?」
「前もあそこで飲んでたから。あそこで友達がバイトしてて、だからオレも時々行くんですよ」
ニコニコしながらストローに口をつける彼の前で、あたしは背中に変な汗が流れるのを感じていた。
「あれって一ヶ月くらい前ですよね? あの時もサクラさん相当酔ってたけど、まさかあの直後に同じ事業部に配属になるなんて」
はははっ! なんて笑うハル。
あたしの方は、かなりひきつってるっていうのに。
「でもあの時は、さすがにビビリました。起きたらサクラさん急にキレだすし、おまけに階段から落ちちゃうし」
「……っ」
ってことはつまりあの時の男は、やっぱりキミだったのね……。