あきれるくらい側にいて
 
「え?」

「オレ、もう……限界です」

「えぇっ!?」



それは、さっき交わされたあたし達の会話。

あぁー、あたしって結構疲れてんのかも。

“我慢できない” “限界です” “しましょ?”

なんて言われて、よからぬ連想をしてしまった、あたしって……。


「サクラさんも冷めないうちにどうぞ」


口をモゴモゴさせながらハルが、あたしの方へビニール袋を押しだした。

手を伸ばし袋の口を広げると、中から食欲をそそる匂いが上がってきて。割り箸の袋には、会社の近くにできたばかりのお弁当屋さんのロゴが印字されている。

半日を外勤に走りまわっていた彼は、“もう限界”状態の空腹のまま長い行列に並び、このお弁当を手に入れてきたというわけ。

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