あきれるくらい側にいて

隣に座り、あたしもハルが買ってきてくれたお弁当を広げた。


「うまっ! 並んだ甲斐がありました」


なんて、育ち盛りの子どもみたいにお弁当をがっつくハル。顔をほころばせて食べる姿はホント幸せそう。

そして、なんとなくそこに重ね思いだしたのは、表情の薄いタダシの姿だった。

一緒にゴハンを食べてる時、タダシから『美味しい』とかそんな言葉を聞いたことってないかも。何を食べてもいつも同じ顔をしてた……。


「サクラさん?」


名前を呼ばれて我に返る。


「なに?」

「食べながらでもいいですか? 早く報告したくて」


とハルは、クリアファイルの中身をごそごそと取り出した。

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