あきれるくらい側にいて
「マジ!? あのイマジックがデザインしてくれるの?」
目を丸くして訊き返すとハルはニッコリうなづいた。
イマジックとは、ニューヨークで活躍していた日本人デザイナーが去年立ち上げたばかりのデザイン事務所で。
次から次に一流企業の商品のデザインを手がけ、その高いセンスからたちまち有名になった会社だ。
ウチの社でも、新商品のロゴを含めたパッケージデザインをイマジックに頼めたら、って話は早い段階で出てたんだけど。
でも事業部の先輩が、営業部の人と何度か掛け合ったけど結果は惨敗。
だから違う会社に依頼するしかないってなってたのに。
「どうやってOKをもらえたの?」
訊ねるとハルは「もちろんオレの熱意です!」なんて力んで見せてから、「そんなワケないですね」と照れ笑いを浮かべた。
でもあながち“そんなわけがない”こともなかったんだと思う。