それでも君が。
澪ちゃんの言葉を、頭の中で繰り返した。
“元通りだったの?”
私は、静かに頭を横に振った。
「もういいんだ、元通りとかじゃなくても……。ていうかね、澪ちゃん」
「ん?」
「私、今回蒼君の態度がちょっと変わったことで、思い知ったことがある」
「思い知ったこと?」
私は、一回だけ首を縦に振った。
廊下に並ぶロッカーの上に荷物を置き、そこの窓から見える花壇を見つめる。
「私、蒼君に寄りかかってばかりだったなって。蒼君に甘えて、蒼君がいなくなったらアタフタして、不安定になって……そんなの、蒼君からしたら負担に決まってるよね」
「そんなこと……」
「ううん。私、今までそんなことに全く気付かず、のうのうと彼の傍にいた。私が変わらなきゃいけない時期なんじゃないかなって思う」
「……羽月」
「元の蒼君に戻ってほしいだなんて思ってたけど、とんだ思い違いだったよ。だって、蒼君は何も変わってないもん。優しいままの、蒼君だもん」
「………」
「ただ、蒼君の太陽みたいな笑顔が消えちゃったのは、気になる。だから……今度は私が頑張る番。……頑張るよ」
そう言って澪ちゃんに目をやったけど、ビックリした。