それでも君が。
「羽月、おはよ」
振り向くと、そこには澪ちゃん。
他の皆は、もうすっかりザワザワしていた。
「おはよ、澪ちゃん」
「あんたって、藤堂君と仲良かったっけ?」
「え? まさか! いい訳ないじゃん」
「じゃあ今のは何よ」
「知らないよ。あの人変だよ、すっっごく!」
「ふぅん……」
澪ちゃんは気のない返事をして、私の顔をまじまじと見てくる。
「な、なに? 澪ちゃん」
「ううん。元気だなぁと思って」
「元気だよ。おかしい?」
「……蒼先輩とは……会えたの?」
「うん! 今日、迎えに来てくれた」
「え? 迎えに?」
瞬時に目を丸くした澪ちゃんは、そのサラサラな髪の毛を耳にかけながら、私の腕を引っ張り、廊下の隅に移動した。
「澪ちゃん、なに? 準備しなきゃ……」
「蒼先輩、どんな感じだったの? 元通りだったの?」
澪ちゃんは私の話をまるで無視して、矢継ぎ早にそう言った。