それでも君が。
その次の日も、蒼君は朝練に出ずに、私を迎えに来てくれた。
でもやっぱり、いつもの笑顔は見せてはくれなくて。
何とか笑わせたいって思えば思う程、空回りしてる気がした。
「蒼君」
「なに」
蒼君は私を見ないまま、短く答える。
登校ラッシュ時だ。
校門周辺や、校門から見える昇降口には、たくさんの生徒が溢れている。
皆、まだ夏休みモードが抜けないんじゃないかというくらい、明るい。
そんな人達とは正反対な表情で歩を進める蒼君は、私を見てくれないままだ。
「あのね……蒼君、今日のお昼──」
「蒼汰ぁ」
今日のお昼ご飯のことなんだけど
と言おうとしたのに、それは秋山先輩によって打ち消された。
後ろに目を向ける。
秋山先輩がわざわざ走って、こちらに向かってきていた。
今日は、長いウェーブがかった髪の毛を、真上でお団子に束ねている。