それでも君が。
「蒼汰、おはよ」
「はよ」
蒼君は、隣にポンと並んで立った彼女に、ぎこちないけれど、微笑みながらそう言った。
胸が、ズキリと痛む。
ぎこちないとは言え、どうして、私には向けてくれない笑顔を、その人に向けるの?
そんな私の思いをあざ笑うかのように、秋山先輩は蒼君の腕に、その細い指を滑らせた。
「ねぇ蒼汰、今日の部活のことなんだけど」
「あー……悪い。おれ、今日からしばらく部活出ない」
「……どうして?」
「……晴斗は出るみたいだから。とにかく俺は出ない。皆には適当に言っといて」
「ねぇ蒼汰。部活に出ないのは……アレが原因なの?」
「秋山。それ以上言うと、一生口きかねぇ」
「………」
押し黙った秋山先輩はグッと唇を噛み締め、ギッと私を睨んできた。