それでも君が。




──蒼君が部屋を出て行ってから、5分くらい経った。



お客さんに対応してるにしたら、時間がかかり過ぎてる気がする。



またベッドに横になっていた私は、さっきと同じように起き上がった。



声も聞こえない……。



誰が来たんだろう。



ちょっと階段の下を覗いてみようかと思い始めた時。



階段を上がってくる足音がした。



蒼君、かな……。



部屋のドアが開くのをイメージしながら待っていると、そのドアは開かずに、音が聞こえた。



──コンコン……。



……蒼君?





「……はい」





そう答えると、そのドアは少し遠慮ぎみに開けられた。



キィッと音を立てた扉の向こうに見えたのは、澪ちゃんの姿。





「澪ちゃん!」


「羽月」





唇をニコリと緩め、澪ちゃんはその身を部屋の中へと滑らせた。



ジャージである所を見ると、どうやら部活帰りらしい。




< 172 / 292 >

この作品をシェア

pagetop