それでも君が。
私は、澪ちゃんにすがりつくようにして、声を押し殺した。
階下にいる蒼君に声が聞こえちゃいけないから。
「澪ちゃんっ……」
「なに?」
「私っ……いつか……蒼君の視界から、き、消えちゃうのかなぁ? 蒼君の心の中から、消えちゃうのかなぁっ……?」
「……羽月っ……」
それ以上言わせまいとしてか、澪ちゃんは私を強く抱き寄せた。
少し寒い気がしていたのに、一気に温かいものに包まれ、わずかだけど安心感で満たされる。
──あんまり泣いたら、蒼君にバレちゃうかもしれないのに……。
泣いたら、ダメなのに……。
でも、溢れるものを止めるには、今の状況は過酷すぎて、どうにもならないの。