それでも君が。
こんな時いつも、私は喉まで出掛かる言葉を飲み込むの。
──触らないで。
蒼君は私の彼氏なんだから。
私だけの、蒼君なんだから。
そう言ってしまいそうになる。
「あー、まぁ、物になるんだったら、どうせなら羽月の持ち物になりたいな、俺。な、羽月」
そう言ってニッと笑い、さりげなく、秋山先輩に触られていた腕を上げる蒼君。
まるで、私の思考を察知したかのようなタイミング。
──蒼君は、色んな意味ですごいの。
一瞬で、こんなにも私を幸せにしてくれる。
「……じゃあね、蒼汰。晴斗は、また放課後にね」
先輩は、蒼君と晴君にだけそう言い、1人先に行ってしまった。
その背中が渡り廊下の向こうに消えると、蒼君がハァッとため息をつき、言った。
「ごめんな、羽月。何かあいつ、やけにお前に突っかかんだよな」
「え? あ……そ、んなことないよ……」
「……うん」
「……とか、言えない自分もいる」
そう白状した瞬間、蒼君はハハハッと笑った。
そして、私の頭に腕ごと乗せ、ぐしゃぐしゃしてくる。