それでも君が。
「何で俺が威嚇されなきゃいけねぇんだ」
チッと舌打ちした藤堂君。
今度は照れでも何でもなく、本気で腹が立ってるというような感じだ。
「ごめんね」
と私が謝ると、彼は頭をガシガシとかいた。
「お前に謝られてもな」
と藤堂君が呟いた時、ガーッ……という音と共に、教室前方のドアが開いた。
そこから姿を見せたのは、秋山先輩だった。
「……秋山先輩……?」
「お邪魔?」
明らかに笑っている唇でそう言って、私と藤堂君を交互に見る。
私は「別に……」としか答えられなかった。
「ちょっと話があるの」
秋山先輩はそう言って、その細い足を教室に踏み入れる。