それでも君が。
藤堂君は、蒼君に近付くように足を二歩踏み出した。
「アンタさ。どういうつもりだよ」
そこまで言って、彼は私の方に一瞬だけ顔を向け、また蒼君に向けた。
「コイツが影で泣いてんの、知ってんのかよ」
「そ、それは藤堂君が……!」
「俺のせいかよ」
目だけでギッと睨まれ、何故か黙るしかなくなった。
「確かに引き金は俺かもしんねぇけどよ。でも、普通あれくらいで泣かねぇぞ。ガキかっつーの」
「………」
「俺はこの王子様に聞いてんだよ」
私を睨んでいた目を、そのままの鋭さで、蒼君に向ける。
蒼君は、その睨みを受けても微動だにせず、ただ立っていた。
怖いくらい、冷静な顔。
「なぁ。どうなんだよ。冷めたんなら冷めたって言ってやれよ。コイツ生殺しじゃねぇか」
「お前に答える義務はない」
「やっと口開きやがったな。喋れねぇのかと思ったよ」
一触即発のお手本だ。
手から、嫌な汗が出てるのが分かった。