それでも君が。




「……蒼君っ……」


「王子様の登場か」





ボソリと呟いた目の前の人は、私の頭から手を離した。



そして机にかけていた腰を上げ、両ポケットに手を入れる。



蒼君は教室に足を踏み入れ、私達がいる窓際に向かって歩を進めてきた。





「教室にいなかったから」





そして、私にそう言う。





「あ……ごめん……ちょっと、話をしてたら……遅くなって」


「帰るぞ」


「……うん」


「ちょっと待てよ」





そう口を挟んだ藤堂君は、私の肩に手を置き、グッと力を入れてくる。



ドキリと心臓が跳ねた。





「な、何!? 藤堂君!」


「王子様よ。あんたどこまで残酷なんだよ」


「藤堂君!」


「お前ちょっと黙ってろよ」





彼の声が固くなっているのが、ありありと分かった。



──どうして……



どうして藤堂君が怒ってるの……?




< 211 / 292 >

この作品をシェア

pagetop