それでも君が。
「……蒼君っ……」
「王子様の登場か」
ボソリと呟いた目の前の人は、私の頭から手を離した。
そして机にかけていた腰を上げ、両ポケットに手を入れる。
蒼君は教室に足を踏み入れ、私達がいる窓際に向かって歩を進めてきた。
「教室にいなかったから」
そして、私にそう言う。
「あ……ごめん……ちょっと、話をしてたら……遅くなって」
「帰るぞ」
「……うん」
「ちょっと待てよ」
そう口を挟んだ藤堂君は、私の肩に手を置き、グッと力を入れてくる。
ドキリと心臓が跳ねた。
「な、何!? 藤堂君!」
「王子様よ。あんたどこまで残酷なんだよ」
「藤堂君!」
「お前ちょっと黙ってろよ」
彼の声が固くなっているのが、ありありと分かった。
──どうして……
どうして藤堂君が怒ってるの……?