それでも君が。
「お前はすげぇよ」
と、晴君。
「何が?」
「あんな態度取られても、好きなんだろ。蒼汰が」
「……うん」
「何でだよ。何でそこまで?」
「……晴君、覚えてる? 私達がまだ小学生だった頃」
私は廊下の窓際に寄り、そこから見える真向かいの校舎に目をやった。
その校舎は、蒼君のクラスがある所。
「下校時にさ、私と蒼君と晴君、3人で帰っててさ。私が野良犬にちょっかい出しちゃって、その犬に追いかけられた時」
「ああ……あったな」
「あの時、私が走り疲れて止まった瞬間、犬に足を噛まれて……蒼君、すごく怒ってくれて……犬を追い払ってくれた」
「………」
「そして、私をおんぶして……すぐそこの病院に連れてってくれたの」
小学生なのに。
病院に払えるお金も持ってなかったのに。
今考えると、無茶なことしたなぁって、思う。
でも、自分とそんなに変わらない体型の私をおぶって、走ってくれた。
それが、すごく嬉しかった。