それでも君が。
その禁断の扉を閉めるタイミングを逃し、ただ立ち尽くす私は、次の瞬間、有り得ないくらいの衝撃に襲われた。
「最後まで見てくの?」
一瞬で冷や汗がドバッと出るのが分かった。
気付くと、藤堂君は顔だけを私に向けていた。
「あああっ! ごごごめんなさい!」
思わず大きな声でそう言って、ドアをバタンッと閉める。
中から、「やー何ー?」と微かに女の人の声が。
私はノブを握り締めながら、マラソンでも走った後かと自分で突っ込みたくなるくらい、息を荒げていた。
──と、藤堂君め……!
普段は全然やる気ない感じの癖に……!
めちゃめちゃヤる気じゃないか!!