それでも君が。
「……羽月」
呆然とした表情で、ポツリとこぼしたお母さん。
私は自分の涙を手で拭い、鼻をすすった。
胸と喉の中間に、何か大きな蓋をされてしまったかのように、息苦しい。
──だって。
蒼君の声が、確かに聞こえたの。
寝てる時だったけど。
意識は深く沈んでいたけど。
確かに、蒼君の声だった。
──好きだよって。
ゆっくり眠れって。
蒼君が
蒼君が言ってくれたの。
好きだって。
キスも、してくれた。
間違いない。
間違えるはず、ない。
こんなに愛しいんだもん。
愛し過ぎて
泣けるんだよ……。