それでも君が。
私、殺されるのかな、なんて。
そんな考えが頭に浮かんだ。
だって、男は私の腕を掴んでいる手とは反対の手に、ナイフを握っていたから。
──こっちに来い!
男は無理矢理私を歩かせようと、引っ張る。
私の足だけが、抵抗してくれた。
でも、男の手の中で光るナイフが怖くて、それもむなしかった。
蒼君の名前を、頭の中でたくさん呼んだ。
お父さんでも、お母さんでもない。
蒼君の名前だけを、呼んだ。
でももう、無理かも……!
そう思った瞬間だった。
──何してんだよ!