それでも君が。
──……蒼君?
今の今まで抱き締めてくれてた蒼君の身体に、しがみつくようにしていた自分の手を、見た。
真っ赤だった。
左手が
真っ赤だった。
その絵の具みたいな赤が、雨によって薄まっていく。
自分の血なら、良かったのに。
どこも痛くないんだよ。
痛くなってよ……!
私が刺されたんでしょ……!?
私が……
──は、づき……
小さな、声。
視線を少し下に向けると、蒼君が荒く呼吸をしながら、私を見上げていた。
蒼君が膝をついてる先の水たまりが、真っ赤に染まっていく。