それでも君が。
現実です。




頭がズキズキする……。

ふと目を開けると、そこは真っ白な世界だった。


「……羽月?」


優しい声が響き、視線を横に向けると、そこには母親の姿が。
その隣には、眉を下げたお父さんがいる。


「おとう、さん……おか、さん……?」


「そう。分かる? ここ、病院よ。もう何も心配しなくていいから」


「……なに、を……?」


「え……何をって……だから、……羽月、あんた……覚えてないの?」


「………」


お母さんが言った言葉が、頭の中でグルグル回る。


──覚えて……?


私……バス停の屋根の下で、蒼君が忘れ物取ってくるのを待ってて……


あれ……?


そこから、どうしたっけ……?


何が……?


何が……


そこまで考えた時、尋常じゃない痛みが私の頭を襲った。

「……いっ! いた、いっ!! うー……」


「羽月! 羽月!! あなた、先生をっ……」


お母さん達の声が、遠い。頭に小さく響いてる。

痛い。

い。


怖いよ、蒼君……!


……蒼君……?

蒼君は、どこ……?


蒼君


蒼君


助けて……!


痛いよぉ……。




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