それでも君が。




その時の頭痛は、医師の処置で、すぐに治まった。



でも、ふと何かの拍子に、ズキッと頭が痛むことがあって……。





「CTとか、初めてだったよ」





小さな部屋に、私の声が響く。



全く知らない人とはなかなか上手く渡り合えない私を気遣ってなのか、両親が個室を取ってくれた。



書店名が載っている袋から雑誌を出していた澪ちゃんは、私のその言葉に顔を上げた。



入院してる間、暇だろうからと言って、買ってきてくれたのだ。





「CT? そんなにひどかったの?」





と、澪ちゃんが言う。





「うーん……どうなんだろ。良く分かんない」


「よく、分かんないって……?」


「うん。だって、ハッキリした病名も言われないしさ。病院に運び込まれた時の記憶もないし……」


「……本当に、何も覚えてないんだ」


「うん。お母さんは、貧血で倒れたのよって言うけど。貧血なのに、頭部CTとか撮る?」





澪ちゃんは困ったように笑い、首をひねった。



何だか今日の澪ちゃんは、少し元気がないように見える。



私が座るベッドの枕元に雑誌を置きながら、澪ちゃんが口を開いた…。




< 46 / 292 >

この作品をシェア

pagetop