それでも君が。
「晴君!」
「羽月、大丈夫か?」
晴君はスーパー袋を下げていて、それを揺らしながら私に近付いてくる。
スマートで背が高くて、そんなカッコいい彼に、その袋はあまり似合わない。
「大丈夫だよぉ。ちょっとした貧血」
「ビックリした。うちのお袋から、お前のお母さんに会ったら、羽月が入院してるとか言ってたって聞いて」
「ごめんね、心配させちゃって」
「こんにちは」
晴君は、そこに座っている澪ちゃんに無表情でそう言って、その横に腰掛けた。
「こんにちは」と言いつつ、澪ちゃんの顔が真っ赤になってるのが、何だか可愛い。
「これ、差し入れ」
そう言って、晴君はベッドサイドにある小さな机に、スーパー袋を置いた。