それでも君が。
「明日の朝早くから出るから、もう蒼汰には会えないと思うけど。蒼汰に何か伝言あるか」
と、晴君。
「んー……そだな、合宿頑張ってねって」
「ん」
「合宿所って確か、携帯は禁止だったよね。……出来たら、たまに電話ちょうだいって言ってて」
「分かった」
「あと……大好きだよって」
最後のは、言うのに勇気がいって、思わず笑ってしまった。
晴君は少し困ったように微笑んで頷き、椅子から立ち上がって、私の頭を撫でた。
「確かに伝えとく。じゃあな。早く元気んなれよ」
「うん!」
そう言って、部屋を出て行った晴君の背中が、すごく頼もしく見えた。