それでも君が。
晴君がお見舞いに来てくれた次の日、私は退院した。
それから一週間、蒼君からの連絡は、一度もなかった。
暇な日はずっと、携帯電話と睨めっこしていたのに……
携帯の画面が蒼君の文字を映し出すことはなくて。
蒼君の家へ行って、おばちゃんに会って、色々聞いてみようとしても……
おばちゃんは、「蒼汰から? おばちゃんにも連絡ないわよー。薄情な子よねぇ」と笑うだけで、何も特別なことは言わなかった。
──会いたいよ。
声、聞きたい。
それだけなのに。
いつでも隣にいて、傍にいて、私に優しく笑いかけてくれる蒼君。
それは、私がそれを望んだからなのかな。
蒼君は、蒼君自身は、私に会いたいとは思ってくれないのかな。
そんなことを考えては、ため息をついた。