それでも君が。
晴君の部屋は、何ていうか、すごく汚い。
洋服や紙が散乱していて。
部屋自体が広くはないから、圧迫感もすごい。
「……晴君……汚い」
「あ? 座れねぇこたねぇだろ」
「そりゃそうだけどさ……“足の踏み場がない”の手本だね」
「そりゃすみませんね。おら、座れ」
私の手を離し、唯一綺麗にしてるベッドに腰掛ける晴君。
私は、テーブルの近くにある洋服を軽くたたみながら隅に寄せ、そこに座った。
「蒼汰がどうかしたか?」
何も言っていないのに、晴君はいきなりそんなことを口にする。
私は、床に置かれている、バスケットボールの雑誌に目を落とした。
何て言えばいいのか、分からない。
何から聞けばいいのか、全く分からない。
「……晴君は……蒼君と、連絡取ってる?」
当たり障りのないことを聞く。
合宿が終わってから一週間は、部活はお休みになる。
だから、その間、晴君と蒼君が会うことはないのだ。
部活もないのに、2人が連絡を取り合うはずもなく。
そんなことは分かってるのに、私の口からポロリと出た。
案の定、晴君は首を横に振った。
私は、そっか、としか返せない。