それでも君が。
泣くな
と言ってくれてるみたいに優しく触れたから……
余計に切なくなった。
いつもは、必要最低限のことしか喋らない晴君が、ここまで言ってくれた。
ねぇ蒼君……どうして、私に何も言ってくれないの?
どうして……
黙って晴君の手に甘えていると、急に、部屋のドアをコンコンッと叩く音がした。
そして、次の瞬間。
「晴斗、俺。入るぞ」
──蒼君……?
泣いてしまったせいで、少しボーっとしてしまっていた頭。
その頭の中に、一瞬で蒼君の笑顔が広がった。