それでも君が。
でも、すぐに気付いた。
のんきに彼の笑顔を思い浮かべてる場合ではない。
こんな所で、急に会うことになるなんて……急過ぎて、頭が働かない。
慌てて晴君を見たけれど、彼は無表情で私を見つめ、その状態のまま言った。
「入れ」
「え!? 晴くっ……」
制止しようとしたけれど、間に合うはずなかった。
ドアはガチャリと静かな音を立て、開いた。
そこから顔を覗かせた、“俺”と名乗った人は、間違いなく蒼君で……
彼は、そこにいる私を見るなり、目を見開く。
瞬時に空気が張り詰めたのを感じ、身震いした。
3人共が、まるで言葉を忘れてしまったかのように黙っていた。
心臓さえも、固まってしまったのだろうかと思うくらい、“無”だ。
蒼君の顔を見ることも出来ない。
そんな空気を破ったのは、晴君だった。