それでも君が。
──どうして私を抱き締めてくれてるのかも、全然分からないけれど。
でも、嬉しくて。
この腕の温もりは、前と変わってないから。
それが、嬉しくて……。
「私が……選んでいいん、でしょ……?」
「え?」
「このまま、蒼君と付き合っていくか、どうか……」
「………」
「一生、別れないから……。私……ずっと、蒼君だけだよ……」
温かい胸に向かってそう言うと、蒼君は私を自分の身体から離した。
暗くて表情はあまり見えないけど、それでも、分からない訳ない。
私を見下ろす蒼君の目に、温かい、優しい光が戻っていた。
そう確信までしたのに。
「……分かったから。今日はもう帰れ」
蒼君は、冷たくそう言った。
そう言った、けど……
ここでこのまま離れるなんて、嫌だ。
──離れちゃいけない気が、したの。