それでも君が。
「羽月? どっか当たったか?」
何も答えない私の顔を、蒼君が眉をしかめながら覗き込む。
私は何度も首を横に振った。
でもきっと、情けない顔をしていたんだろう。
蒼君は私の頭をそっと撫で、
「ビックリしたな」
と言って、子供をあやすように、少し苦笑いを漏らした。
その表情に、涙が出そうになったの。
蒼君
蒼君
もう、“前の蒼君に戻ってほしい”なんて思わないよ。
私が、変わるから。
がんばるから。
だから、どうか離れていかないで……。