虹の彼方
「りーん」
あ……
友達が読んでる。
「和くん、ノートは昼休みまでに写しといてね。」
「おう。」
あたしは一旦和くんの傍を離れて、友達の方へ行った。
「亜弥、どうしたの??」
あたしの名前を呼んだ声の主は、亜弥というあたしの一番の友達。
相談しあえる仲だけれど、和くんが好きっていうのはまだ秘めている。
「また和といたね。」
……若干わかってるぽいけど
「だって、和くんがノートって……」
なんとかごまかしているけど
「好きなんでしょ??認めなよ。」
……なんか見透かされてるからちょっと悔しい。
でも絶対に言わない。
「ただの友達なだけだから。」
そうあたしが言うと、亜弥も折れたみたいで
「つまんないの」
と言って口を尖らせる。
そう……
今も昔もあたしと和くんは、ただの友達なだけ。
素直な気持ちをぶつけられないこのもどかしさと
そう言い聞かせている自分に深く胸が痛む。