ティッシュに涙と少しの残骸
「真雪~!ご飯よ!」

どうやって家に着いたか覚えていない。カラオケで何を歌ったかなんてもちろん、覚えていない。
ただ必死で作り笑いのお面を顔にベッタリと貼り付けて焦点をずらして星流の顔を見ないようにしてたのは覚えてる。星流の今まで見た事のない笑顔をまともに見たら、あたし、絶対泣くから見ないように頑張っていた。

「真雪!早くしなさい!」
「いまいく―」

ティッシュで涙と鼻水を拭って深呼吸してからドアを開けたらすき焼きの匂いが。

「何かいい事有ったの?」

階段を駆け降りキッチンに向かって声をかけた。

「ちょっとね。肉が固くなる前に食べて」

お母さんたらビール片手にほろ酔い気分みたい。…もしかしてお父さんの誕生日だったり?

「頂きます」

卵をといて熱々の牛肉と蒟蒻をよそう。お母さんからお茶碗を受け取り箸で口に運ぶ。
お父さんはしあわせ者だねぇ。天国にいってもこうやって誕生日を祝ってくれるお母さんが居てさ。
…いいなぁ。
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