ももいろ

【ジェラシー・4】


へぇ〜?

サツキさんが司くんをねぇ。

それはそれは…。

ん?司くん?

俺っ!?

俺は我に返った。

「いやいや、ないでしょそれは!」

「…どうして?」

だって!

「出てけだの触るなだの…俺は凹みっぱなしだよ!」

サツキさんは俺を見上げた。

「ごめんね?」

ウッ…。

「ウン…」


胸に顔をうずめられたから、俺は恐る恐るサツキさんの背中に腕をまわした。

…。

なんか…。

力を入れて、しっかり抱き締めた。

あぁ〜。

やばーい。

俺…

どうしよう。

嬉しい。



嬉しいけど

ここで調子に乗って、サツキさんは俺のもの〜!なんて浮かれてしまったら



俺は嫉妬で気が狂う。



「困った」

「司くん」

俺は腕に力を入れた。

「…俺、どうしていいのかわかんない」

仕事辞めてほしい!なんて俺は…言っていいのか?

ダメだよね。



サツキさんにはサツキさんの事情があって

サツキさんの人生はサツキさんのもの。



しかも今聞いたばっか。



サツキさんは俺の腕の中で、フンッと言った。

アナタ、ここでフンッて。

「他の女の子とエッチした数時間後に、好きだよ〜なんてぬけぬけと言える司くんなんて、困っちゃえばいい」

!!

俺はサツキさんを引き剥がした。

サツキさんはぷいっと顔を背けた。

そっか、忘れてた。

そりゃ嫌だよなぁ、俺ったら無神経…

「あ、あのっ。ごめんね?」

「…」

「あのぅ。ゴメンナサイ」

つーん。

「サツキさぁん…」

俺は困り果てた。

そっぽをむいたまま、サツキさんは言った。

「ショックだった。あたしのことはスルーだったのに」

「それは…」

わかってよ。

サツキさんとは好きな男と…って



…え。だから

俺っ!?

うわっ!

「サツキさんったら!俺とシタ…ふがっ」

サツキさんはすごい形相で俺の口をふさいだ。

「そういう!問題じゃ!ないっ!バカッ!」


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