オトナな初恋
食べ終わってから、お兄ちゃんはまたキッチンへ行く。







「奈緒、私気の利いた事言えないけれど、話聞いてあげることは出来るから。辛くなったら、私にいっぱい愚痴っていいからね!」



そんな事しか出来なくてごめんね。





『ありがとう。』






そこに戻って来たお兄ちゃん。
奈緒の前にお手製のパフェをおいた。
市販で売っているバニラアイスにジャムや果物で飾りつけただけなんだけど、昔から私が泣くとこれを作ってくれたっけ。








『何があったかは知らないけれど、これでも食べて元気出して下さい』







お兄ちゃん、さっき奈緒が泣いてるの見てこれ作ったんだね。








『ありがとうございます。…甘くて美味しい…』







にこっと笑う奈緒の顔を直視したお兄ちゃんの顔はゆでだこの様に真っ赤になった。





「お兄ちゃん…私も食べたかったな。」





『え?あぁ…ままま待ってて…今作るから!!』




立ち上がってキッチンへ行くお兄ちゃんの動きは油の切れたブリキのおもちゃのようにぎこちない。


まさかと思っていたけど




お兄ちゃん…奈緒に…
惚れたな


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