藍色の砂



バタバタと廊下を走り、
手術室の前には警察官が
待ち構えていた。
事情を説明される。



事故に遭ったのは兄貴一人で
視界不良の中、速度超過によって
カーブに気付くのが遅れ、
曲がりきれずにガードレールに激突。



左足複雑骨折、頭部強打、
全身打撲が現状。
手術が終わらないと
何とも言えない。
運ばれた時にはすでに
意識不明だった。



改めて不安がよぎる。
倒れるようにイスに腰を下ろす
母親に声をかけて
父親と咲妃さんに連絡を取った。



父親は翌朝始発でこっちに向かう。
30分後、血相を変えて
現れた咲妃さん。
正直、母親より取り乱していたから
驚いた。



『陽は…?ねぇ、陽は!?』



ボクの腕を掴んで揺さぶる。
その時ちょうど手術室の扉が開いて
酸素マスクを付けたまま眠る
兄貴が運ばれてきた。
血の気のない真っ青な顔。



母親も咲妃さんも兄貴に駆け寄り
必死に名前を呼んでる。
すぐさま集中治療室に入り
面会謝絶となった。














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