藍色の砂



廊下に出て、
ボクを追いかけてきた
咲妃さん。



涙を拭って目の前に立ってる。
不思議と冷静になれてるのは
隣に居る村上のおかげだろうか。



『ごめんなさい…!』
頭を深く下げてかすれた声で
続けた。



『それと…ありがとう。』



『うん…。』
村上の手前、頷くしか出来ない。



だけど、
一歩前に出て咲妃さんの
視線を奪った村上は、
誰よりも一番冷静だった。



『あの、前も挨拶しましたけど改めて。
私、村上莉緒っていいます。昊とは同
級生です。あなたとのことはだいたい
知ってます。気付いてました。今だか
ら言わせてもらいますけど、あんまり
じゃないですか?』



ギョッとして
『ちょっ、村上?』って
止めに入ったけど手を払われた。



『昊はあなたを責めません。
優しすぎるから。でももうこれ以上
甘えないでください。お兄さんだけ
を見てください。それがあなたが出
来る唯一の償いだと思います。』












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