藍色の砂



塾に通い出した。
第一志望受験にはそれなりの
努力がいる。



受験を知ってか、
咲妃さんからの連絡は
途絶えだした。



息抜きでメールをしても、
返信がくるのは
翌日か来ない日もあった。



電車に揺られ、
あの駅で降りる。
何となく、じゃない。
始めから塾は
ここにするって決めてた。



咲妃さんの美容室から
10分程度歩いた場所にある塾。
帰る頃にはもう店は
閉店時間を過ぎている。



たまに誰かが居残って
カットの練習をしていたり、
店の明かりは付いている。



妙にドキドキしながら
前を通り過ぎる。
まだ、咲妃さんが残ってた
なんてことは一度もないけど。



もちろん、咲妃さんには
言ってない。
この駅の塾に通っていること。



『偶然』を装いたい、
なんて白々しくて滑稽だけど
何かしら繋がりを持ちたい
男の心理なんだと思う。










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