男装少女-兄の代わりになった双子の妹の物語-
『今、やっと収録が半分終わって休憩入ったとこ。』
「忙しいんだね。あ、コンサートのチケット彩乃ちゃんからもらったよ。ありがとう。」
コンサートのチケット?
彩乃はその言葉を聞き、ことりに視線をうつした。
彼女は視線に気づかずに会話を続ける。
(コンサートのチケットって、まさか、お兄ちゃんと話してるの!?)
いつのまに電話までする仲になったんだろう、と考える。
『...絶対来てよ。』
「うん。」
『あと、コンサート当日の朝7時。絶対にテレビ見てて。』
「え?なんで?」
『僕も今日の収録で知ったんだけど、重要な事発表するから。』
絶対だよ、と念を押して言う楓に返事をすればそろそろ休憩時間が終わるから
またね、と言われた。
「うん、ばいばい。」
『...ことり。』
「え?」
『好きだよ。』
ブツ、と通話が切れた。
最後に言われた言葉が脳内に響く。
みるみるうちに顔が真っ赤に染まっていくことりを見て、彩乃は首をかしげる。
___兄に何か言われたんだろうか。
「ねえ、ことり先輩。」
「え、な、何!?///」
「...お兄ちゃんと電話してましたよね?」
ドキ、と心臓が高鳴る。
「う、うん。」
「...最近、お兄ちゃん可笑しいし、
もしかして付き合ってるんですか?」